個人保証の制限(1/6)

7-9-2018

1.現行の民法

中小企業の場合、財務諸表の信頼性が必ずしも十分とは言えなかったり、担保とするだけの財産の保有がない、などの事情から金融機関としては融資に当たり個人保証を求めざるを得ないことも少なくありません。現行の民法においては個人保証の案にな引き受けを規制する規定がありません。そのため金融庁は金融機関に対して監督指針等を通じ、経営に関与しない第三者へ連帯保証を求めないよう指導しています。

2.改正民法

(1)個人保証をするには公正証書が必要

①規制対象

金融機関等から借り入れる「事業用資金」の個人保証

②規制内容

保証人になろうとする個人が、保証契約の締結前1か月以内に公正証書で

「保証債務を履行する意思」を表示していなければ、保証契約は原則として無効とされます。

③規制の例外

次に掲げる一定の個人は、公正証書の手続きを経ることなく個人保証人となることができます。

イ.融資を受ける法人の経営参画者(理事、取締役、執行役またはこれらに準ずる者)

ロ.融資を受ける法人の議決権総数の過半数を有する者

ハ.融資を受ける個人が個人事業者である場合、「共同して事業を行う者」または

「その個人事業者とともに事業に従事する配偶者」

(2)個人保証の依頼相手への情報提供義務

主たる債務者は自らに関する以下の情報を個人保証を依頼する相手に提供することが

義務付けられました。主たる債務者が以下の情報提供を怠り、または事実と異なる情報を

提供したために保証の依頼を受けた人が誤認し、それによって保証契約を締結した場合において、

債権者(金融機関等)がその事実(情報提供義務違反)を知っていたまたは知ることができたときは、

保証人は保証契約を取り消すことができます。

①財産及び収支の状況

②今回の融資(個人保証を依頼する債務)以外に負担している債務がある場合には、

その額及び履行状況

③今回受ける融資の担保として提供した、または提供する予定の財産があるときは、

その旨及びその内容

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