週40時間制の基本と働き方について。その1

1-23-2017

政府では「働き方改革」の議論が進められています。
その狙いの一つに、経営者と従業員は労働時間について協力し、
社内体制を整備していくことがあげられています。

今回は、労働時間の基本概要を整理します。

(1)法定労働時間と所定労働時間
 労働時間には、法定労働時間と所定労働時間があります。
①法定労働時間
 法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限であり、
原則として1週間につき40時間、1日につき8時間です。
②所定労働時間
 所定労働時間とは、法定労働時間の範囲内で、会社が就業規則等で定める労働時間のことです。
具体的には、休憩時間を除く出勤時刻から退勤時刻までの時間をいいます。
例えば、10時出勤で、17時退勤で、休憩1時間の場合には、1日の所定労働時間は6時間になります。
 休憩時間は、1日の労働時間の途中に、原則として与える必要があります。

(2)法定内残業と法定外残業
 所定労働時間を超えると残業になり、残業代の支給が必要になります。
 所定労働時間を超えて法定労働時間内(1日8時間)まで働いた場合は「法定内残業」です。
さらに法定労働時間を超えて働いた場合は「法定外残業」となり、
この場合は、一定割合以上の割増賃金を支給する必要があります。

(3)変形労働時間制の活用
 1日8時間、1週間40時間といっても、業種や業態によっては1か月や季節によって繁忙期と閑散期があります。
例えば、月の前半に仕事が集中し、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員が働くような場合、
会社には残業代の支払いが発生します。

 自社の特徴に合わせて、1週間、1か月、1年という単位で見て、
1週間あたりの平均労働時間が週間40時間以内であれば、
1日または1週間の労働時間の上限を超えることが認められる変形労働時間制があります。

①1か月単位の変形労働時間制の活用
 例えば、月の前半は繁忙期のため週45時間になっていますが、
後半の2週間は閑散期となって週40時間になるような企業の場合、
月の前半に合計で10時間の残業が発生し、会社は残業代を支払うことが必要です。

 このようなケースにおいて、1か月単位の変形労働時間制を採用します。
月前半の2週間の所定労働時間を週45時間として、その他の週の労働時間を短くすることで、
1週間の平均労働時間を40時間以内にするという柔軟な対応が可能です(就業規則や労使協定の締結が必要です)。
 この場合、週40時間を超える10時間について、残業代の支払いは発生しません。

②その他の変形労働時間制
 1か月単位の変形労働時間制のほか、1年単位の変形労働時間制などもあります。
 これは、閑散期の休日を増やして、繁忙期の休日を減らすなど、
休日の取り方と合わせて、平均で週40時間内に収めようというものです。

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